結婚をして、マイホームを持ち、ローンはいついつまでに返して、老後は夫婦でのんびり暮らす…なんて素敵な計画を立てているご夫婦ほど、万が一「離婚」することになったら、うろたえるものです。

計画どおりに夫婦生活が進んでいる場合は、私たちの味方をしてくれる「ペアローン」ですが、離婚するとなると、一気に財産分与の際の心配のタネになります。共有名義で分けにくいものの中でも、不動産は規模が大きいですから無視できません。なるべく「早く」処分したい、売却したいと考えるのは自然なことです。

ここでは、ペアローンを組んだ共有名義の不動産を売却する場合に、「最速」で売却しやすい方法をご紹介したいと思います。

不動産会社との契約について

私たちは不動産を売る際に、不動産売却会社と売却のための契約を交わします。その契約形態によって、不動産が売れる早さが多少変わってくることを覚えておいてください。

まず、不動産売却のための契約には、大きく分けて以下の3つがあります。

①一般媒介契約

売り主は不動産の売買を自分でしたり、複数の企業に依頼することができる自由な契約です。

メリット
 ∟あなたは、複数の不動産業者に不動産の売却を依頼することができます。
 ∟また、不動産業者を通さずに自分で買主を探すこともできます。
 ∟結果、たくさんの人に、自分の不動産を見てもらえる可能性があります。

デメリット
 ∟多くの不動産業者が売ろうとしている(=ライバルが多い)ことがわかっているため、
   不動産会社によっては一生懸命売ってくれません。
 ∟不動産業者は売り主に販売活動を報告する義務がありません。
 ∟結果、他の不動産を売ることが優先され、売れにくい可能性があります。

②専任媒介契約

売り主は不動産の売買を1つの不動産業者にしか依頼できませんが、自分で買主を見つけることもできる契約です。

メリット
 ∟7営業日以内に「不動産指定流通機構」に登録されるため、販売活動が見える化されます。
 ∟契約した不動産業者は、販売活動の内容を報告する義務があります。
 ∟報告義務があるため、一生懸命売ろうとしてくれます。
 ∟1つの会社としか契約できませんが、自分で買主を探すのは許されています。

デメリット
 ∟契約は1つの不動産業者としかできません。
 ∟やる気がない不動産業者、悪意のある不動産業者と契約してしまうとなかなか売れません。
 ∟不動産業者の選定がなにより重要です。

③専属専任媒介契約

売り主は不動産の売買を1つの不動産業者にしか依頼できませんし、自分で買主を見つけることもできない契約です。
その代り、より厳粛な報告義務があり、現状の販売状況の把握がしやすい契約です。

メリット
 ∟5営業日以内に「不動産指定流通機構」に登録されるため、販売活動が見える化されます。
 ∟契約した不動産業者は、販売活動の内容を報告する義務があります。
 ∟報告義務があるため、一生懸命売ろうとしてくれます。

デメリット
 ∟契約は1つの不動産業者としかできません。
 ∟やる気がない不動産業者、悪意のある不動産業者と契約してしまうとなかなか売れません。
 ∟不動産業者の選定がなにより重要です。

早く売れる可能性が高いのは、やはり、「②専任媒介契約」か「③専属専任媒介契約」です。
多くの不動産業者の手元に情報が渡ってしまうと、いつ売れてしまってもおかしくないため、不動産業者の営業担当はわざわざ個別の紹介をしてくれなくなります。(紹介した後に売れてしまったら、その時間がもったいないから)

だから、目に触れる機会は多そうでいて、多くありません。他の魅力的な物件に埋もれてしまうのです。よっぽど物件の価値に自信がある場合は別ですが、離婚などの理由から売買を急いでいる場合は、あまりお勧めしません。

となると、早く決まる可能性があるのは、「②専任媒介契約」か「③専属専任媒介契約」です。
でも、この2つには、とても重要な注意点があります。

そう、ダメでズルい不動産業者にお願いしてしまうと、大変なことになってしまうのです。